英語学習法として高い人気を誇る「シャドーイング」。聞こえてきた音声を即座に真似して発話するというこのトレーニングは、リスニング力とスピーキング力を同時に鍛えられるとして、多くの学習者に支持されています。
しかし、実際に始めてみると「スピードが速くて追いつけない」「聞き取れない」「発音が間に合わない」といった壁にぶつかることも珍しくありません。
この記事では、シャドーイングで「ついていけない」と感じる主な原因とその具体的な対処法を紹介します。さらに、効果的な練習手順や継続のコツもあわせて解説していきます。
英語を話すことに慣れていない場合
英語の発音やイントネーションに慣れていないと、シャドーイングのテンポについていくのは難しいものです。特に、英語を声に出すこと自体が初めてという場合、音を聞いた直後にすぐ発話するという流れが大きな負担となることがあります。
対処法:
- 簡単な英語の文章を何度も音読して、まずは声に出すことに慣れる。
- 1日5分からの短時間でもいいので、毎日継続してシャドーイングに取り組む。
- 初心者向けのやさしい教材や英語の絵本など、負担の少ない素材からスタートする。
スクリプトの準備不足
何も予習せずに音声だけを頼りにシャドーイングを始めると、内容が理解できず、ただの「音マネ」に終わってしまう危険があります。意味を理解せずに発話を繰り返しても、効果は限定的です。
対処法:
- 事前にスクリプトを読み、知らない単語や表現をチェックしておく。
- 最初はスクリプトを見ながら音声を聞いて「オーバーラッピング」を行う。
- セリフごとの意味を意識しながら練習することで、記憶にも定着しやすくなる。
音声のスピードが速すぎる
自分のレベルに合っていないナチュラルスピードの音声を使うと、内容を処理する前に次の言葉が流れてきてしまい、ついていくのが非常に困難になります。
対処法:
- 音声の再生速度を調整できるアプリを使って、0.5倍速や0.7倍速などから始める。
- 慣れてきたら徐々に速度を元に戻し、最終的には等倍で練習できるようにする。
- 理解しながらついていけるスピードでの練習が、最も効果的です。
音のつながり(リンキング)が聞き取れない
ネイティブの発音では、単語と単語がつながって聞こえる「リンキング」や、音が脱落する「リダクション」が頻繁に発生します。これにより、単語ごとに区切って聞き取る日本語話者には、英語の音声が非常に聞き取りにくく感じられます。
対処法:
- 英語の発音変化(リンキング・リダクション・同化など)を紹介する教材や動画を活用する。
- 実際に自分でも発音してみることで、耳と口の感覚を一致させていく。
- このような発音に慣れると、会話のスピードも自然に受け入れられるようになる。
効果的な練習ステップ
シャドーイングの効果を最大限に引き出すためには、以下のような段階的な手順を踏んで練習を行うのがおすすめです。
- リスニング: 音声を一度通して聞き、スクリプトを見ずに全体の流れを把握する。
- スクリプト確認: 語彙や文法、表現をチェックして理解を深める。
- オーバーラッピング: スクリプトを見ながら音声に合わせて声に出して読む。
- シャドーイング: スクリプトを見ずに音声に追従して発話する。
- 録音と確認: 自分の発話を録音し、元の音声と比較して改善点を見つける。
- 反復練習: 難しい箇所は繰り返し練習し、自然に言えるまで定着させる。
継続のコツとモチベーション維持法
シャドーイングは、数日や数週間では大きな効果が出るものではありません。日々の積み重ねによって、確かな実力が育っていきます。
続けるための工夫:
- 「完璧にやろう」と思わず、まずは真似するだけでもOKと考える。
- 5分〜10分でもいいので、毎日決まった時間に練習する習慣を作る。
- 好きな映画・ドラマ・ポッドキャストなど、興味のある素材を使うと楽しく続けられる。
- 発話の記録を残しておき、自分の成長を実感できるようにする。
まとめ:シャドーイングは「ついていけない」からこそ始める価値がある
シャドーイングは、初めて取り組む人にとって難しく感じられることが多いトレーニング法です。しかし、正しい方法で少しずつ慣れていけば、確実にリスニング力とスピーキング力の向上につながります。
「ついていけない」と感じたときこそ、自分の成長のチャンスだと捉えて、一歩ずつ前進していきましょう。今日からまた、あなたのペースで学びを始めてみてください。